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青森市・ねぶた祭り
青森ねぶた祭りと湯めぐり。
八甲田温泉・遊仙
酸ヶ湯(千人風呂) 筍おでん
じゃっぱ汁
 1:八甲田温泉・遊仙
 2:酸ヶ湯(千人風呂)
 3:酸ヶ湯 筍おでん
 4:じゃっぱ汁
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[アクセス]
東京駅前→(高速バス:約9時間30分)→JR青森駅前→(徒歩:約1分)→ジャパンレンタカー・青森駅前店→(車:約1時間)→酸ヶ湯温泉旅館→(車:約30分)→八甲田温泉・遊仙→(車:約1時間)→青森駅前→(徒歩:約10分)→アスパム→(徒歩:約5分)→ねぶた祭会場(新町通り周辺)
[関連サイト]
■青森ねぶた祭公式サイト
■ジャパンレンタカー
青森駅前店
■酸ヶ湯温泉旅館
青森市八甲田山1酢ヶ湯温泉
TEL:017-738-6400
■八甲田温泉 遊仙
青森市駒込深沢766-2
TEL:017-738-8288
[旅行手配内容]
オリオンツアー(東京-青森高速バス:約23,000円(全費用)
青森方面の名物

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「ねぶたはいつか見たいねー!」
野郎3人で飲んでいた時、ふと旅の話になり、三人とも青森のねぶたが一番見てみたいことで一致し、共感した嬉しさで思わず握手しあったことがある。飲んでる時はこんなことでもなぜか握手をしてしまう。(笑)青森市で8月2日〜7日間開催される「ねぶた祭」。青森なんて、行こうと思えばいつでもパッと行ける所であった。日常におけるその他のコトとの優先順位の問題なのだ。

その約2ヶ月後。ひとりでねぶたを見に行くことにした。今回はねぶたがメインなのであまり交通費をかけたくない。新幹線と電車を乗り継いで行くと往復約33,000円。うーん…。しかしネットで調べると東京駅前から青森駅前まで深夜運行する高速バスがあることを知った。往復でなんと12,500円。す、すばらしい…。但し、夜の11時半に東京駅前を出て朝の9時に青森駅前に着く。約9時間半…。きつそうだがずっと寝ていればそんなでもないだろう。そんな軽い気持ちで高速バスで行くことに決めたのだが、後で激しく後悔することになった。

丸ビル前東京駅近くの丸ビル前から出るバスに乗り込むと40人もの乗客で満席の予定らしい。ひとり旅は僕だけかと思っていたらおよそ3分の1がひとり旅か帰省っぽい。席は決められており、女性は女性同士、男は男同士で座る。これはお互い助かる。片側ニ席の窮屈なシート。

そして僕の席はなんと通路側…。ゲッ!隣の席との間には肘置きもなく、左右に身体を預けられるものが何もない事実を突きつけられた。これはとても寝られる状況ではないぞ…。ひぇぇぇぇー!出発直前に窓側の隣の席に座ってきたのは若いサラリーマン。仕事を終えそのままかけつけたらしい…。

出発前のバスの中出発して間もなく高速道路に入ると「消灯です」というアナウンスと共にブチッと電気が消された。両側の窓はあらかじめ全てカーテンが閉められており夜景すら見えない。まさに生き地獄…。間もなくして腰骨あたりの一帯、隣のサラリーマンと唯一接触している辺りが汗でジワジワねっとりしてきた。そして汗の臭いが鼻を襲う…。うぅ…。通路側の人は僕と同じように苦しんでいる様子がはっきり分かった。これでは寝られるわけがない。約2時間半ごとにサービスエリアで休憩があったのはせめてもの救いであった。

長い夜は重々しく続いた。気がつけば朝の6時。次第に夜も空けフロントガラスの向こうにうっすらと朝の風景が映る。とうとう朝になってしまった…。そう思うと同時になぜか少し眠れたような気がしたが、それはわずか30分程であった。朝の9時。バスは青森駅前に静かに到着した。バスを降りると徹夜明けのあのズッシリ重たい感覚が身体中を襲った。

あらかじめ予約をしておいた駅前にあるジャパンレンタカーでホンダのLifeを6時間借りた。受付の若い女性の口から飛び出す津軽弁はほとんど理解できなかった…。(笑)ねぶた祭は夕方7時頃から。それまでまずは、巨大な縄文遺跡「三内丸山遺跡」で縄文文化をたっぷり勉強したいと思っていたが、そんな気力など全く沸かずやめた。こういう時は温泉でのんびりしよう。ナビをヒバ造りの千人風呂で有名な「酸ヶ湯(すかゆ)温泉旅館」にセットした。

酸ヶ湯は、八甲田山の大岳の麓にある江戸中期から続く温泉宿。天気は雨の予定だったが晴れ。酸ヶ湯へ向かう道は両側に鮮やかな緑が続く絶好のドライブコース。青森駅前を出発して1時間ほどで滑らかな曲線を描く山をバックに大きな木造の酸ヶ湯温泉旅館がドーンと目に入ってきた。駐車場にはものすごい数の車。さすがに人気の温泉旅館である。日帰り入浴は600円と安い。(浴槽内の撮影は禁止)

酸ヶ湯チケットなぜか入口で買ったチケットを渡す場面がなかった。脱衣所は男と女に分かれているが、中は一緒。つまり混浴。と言っても混浴用の服もあるので女性も安心して入れるかな…。ちょっと短いが女性専用の時間帯もあるし(8〜9時、20〜21時)男女別の小浴場「玉の湯」もある。千人風呂とはかなり大袈裟だが…、総ヒバ造りの大きな浴槽が二つバシャーンと広がっていた。熱の湯と四分六分の湯。小さめの冷えの湯と温泉が流れ落ちる湯滝なるものもあった。

酢ヶ湯HPより(撮影禁止のため)熱の湯と四分六分の浴槽に入ったが酸性硫黄泉の湯が実に素晴らしかった。やや熱めで硫黄の香りがプンプンする白濁したなめらかな湯。高い天井を見上げながら、ゆるゆると楽しんだ。泉質も浴槽や建物の雰囲気も素晴らしかった。

風呂上り、売店で酸ヶ湯名物の筍おでん(350円)を買い青空の下、ベンチに座ってハフハフ食べた。細い三角の筍とこんにゃく、つくねが一串になったものが三本。辛子色の生姜味噌だれがたっぷりかかっており、生姜がかなりピリリと効いて甘辛く独特の味わい。かなり濃厚なのでビールが激しく飲みたくなったが、運転手なのでそれはあきらめるしかなかった。

祭までにはまだまだ時間がある。かと言って今日はあまりあちこち行く気もないので酸ヶ湯の大きな駐車場に停めた車の中で小一時間仮眠をとった。ガイドブックをパラパラめくり、向かったのはまた温泉。八甲田温泉の「遊仙」。もう今日は温泉でひたすらゆたゆたボーっと過ごすのだ。車の窓からは八甲田山が見える。酸ヶ湯から30分程で、周辺一帯が緑に囲まれた「遊仙」に着いた。

実はネットで事前にチェックしていたところでもある。その評判は酸ヶ湯と比較するとそれほど良い感じではなかった…。しかし、ここのラムネ湯に強く惹かれた。ぷちぷちと気泡がはじけるラムネ湯…。まだ未体験。50人以上いた酸ヶ湯と違って客は5人程。内風呂を覗くと、湯の色が濁った薄い土色。内風呂は後で入るとして露天風呂へスタコラ歩く。岩場に囲まれた中に薄いラムネ色をした湯がたぷたぷ。うーん、いい色。おまけに誰もいない。

ここも硫黄の香りがプンと鼻を刺激し、手ですくった湯に顔をうずめると酸性湯(酸性明礬泉)らしく目が痛かった。白く変色した岩場の間から源泉がドボドボ…。適度に熱くなめらかな湯が実に気持ちがいい。しあわせ…。湯の中で真っ白な湯の華がチラチラ舞っている。天気も良く、八甲田山の姿も見える最高のロケーション。やーここはいい露天風呂だ。やっぱり温泉は露天の方がいいなぁ…。

しかし、ラムネ色はしていたが、プチプチとした感じはない…。あれれ…。隣の露天風呂にいたおとうさんに聞くと、この露天風呂はラムネ湯ではなく、日帰り用のラムネ湯は女性専用しかないらしい。あらら…。まあしかし、いい露天風呂に出会い、もう十分に満足であった。しかし大きなアブが多いのは少し気になった…。それ退治用のアブ叩きまで岩場に置かれていたくらい。(笑)内風呂はまた違う泉質(含土類石膏花硝泉)でかなり熱め。とても長くは入っていられなかった。シャワーを浴びると同じ泉質の湯がドボドボ流れてきた。

露天風呂で一緒になった75歳くらいのおとうさんは、ねぶた祭を見に来たことを話すと、
「俺は五所川原のねぶたが一番好きだなぁ」
と、ちょっと聞き取りにくいが、そんなようなことを、土地の言葉で言っていた。青森市のねぶたと違い縦に長く、その高さは20メートルを超え相当迫力があるらしい。
「良い旅を」
と、別れ際に言ってくれたのがなんだか嬉しかった。

じゃっぱ汁青森駅前が混み合う前にと、少し早めに車を返却した。さてと昼飯。青森らしいものが食べたく、青森港のそばにある三角の形をした「アスパム」の10階にある「西むら」で、生ビールと一緒に、じゃっぱ汁とほたて貝焼き味噌を頂いた。

ふと窓から真下を見ると、なんとそこにねぶたが集合していた。どうやらそこが倉庫兼、制作場になっているらしいのだ。まだ色を塗っているねぶたも見える。そこへ行くと、明かりが灯っていない素の状態のねぶたがズラリと並んでいた。思ったより迫力がない…。なるほど。夜になり点灯したときに美しく見える色調にしているのだろう。

それはまさにその通りで、7時頃に祭が始まると灯篭型のねぶたに明かりが灯り、強烈な色合いとダイナミックな絵柄がドドドーンと目に飛び込んできた。うわぁぁぁ!やっぱりすごい!まるで生きているようだ。沿道に設けられた桟敷からも拍手と歓声が沸き起こる。高さ約5メートル、幅は約9メートル、重さ約4トン近いねぶたを約30人から40人で押しながら回転させたり上下に大きく揺らしたりしながら進む。なかなかの迫力。ねぶたを押しているのは10代から30代と思われる若い男達。中腰で汗まみれになり必死で押す風景は見ているこちらも熱くなった。

「ラッセラー!ラッセラー!」の掛け声が真夏の夜にこだまする。ねぶたの前には、跳人(はねと)と呼ばれ、花笠をかぶり、派手な浴衣のような衣装をまとった人達が大勢いて、その掛け声や手振り鐘(かね)のシャンシャンという音に合わせて楽しそうに跳ねたり踊ったりしていた。これは見せるものというよりは参加している人が自分なりに祭を楽しむもののようだった。それにしてもものすごい人。いったい何万人が沿道にいるのだろうか…。(7日間で約330万人らしい)その熱狂の中、大歓声と共に約20基のねぶたが街中を踊るように突き進んでいった…。

ねぶたの色づけねぶたの絵は何がモチーフでどのように作られるのか?レンタカー屋で入手したパンフレットを見ると、ねぶたの元絵になる題材は、歌舞伎の名作の場面や歴史物語等から選ばれるらしい。そしてねぶたはなんと一回きり。来年はまた新たに1年近くかけて作るとのこと。下絵(デザイン)→小屋がけ(ねぶた制作の小屋づくり)→骨組み・電気配線→紙貼→書割・ろう引き→色付け→台あげという工程。青森のねぶた祭は七夕様の灯篭流しの変形と言われているが、その起源は定かではないらしい。

そもそも夏のこの時期に日本各地で開催される祭とは、「お盆に戻ってきた先祖の霊を迎え一緒に楽しみまた送り出すもの」と聞かされていたが時代と共に変化をし、今ではそういう宗教的(仏教)な要素や想いもなく、住民も観光客もこの時だけは思う存分熱狂できる夏のイベントとなった感がある。宗教も今やチャンプル。もうそういう感覚でいいのだろう。

夜の9時頃になり祭が終わった途端、一気に静寂に包まれた青森の町がバスの窓から見える。帰りは運良く窓際。望むことはただ一つ。寝るだけです。バスは朝の6時半に新宿駅前に辿り着く。

(07年8月:旅々旅人)
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